キャッチオール規制とは
リスト規制は、該当貨物が規定の規制値・スペックに達すればリスト規制該当となります。
よって、リスト規制1−15項に該当する場合、経済産業大臣の許可が必要です。
ただし、これらの規制値・スペックに該当しなくても大量破壊兵器や通常兵器を製造する上で支障はございません。このリスト規制の欠点を補完する規制がキャッチオール規制です。
リスト規制が非該当の場合、次にやることはキャッチオール規制(16項)の確認です。
逆に言えばリスト規制に該当しない貨物も場合によっては、このキャッチオール規制に該当する可能性があるということです。
※メーカー該非判定書が「非該当」のため、16項を確認せずに非該当と判断する間違いです。
そしてこのキャッチオール規制とは、リスト規制と異なり貨物のスペックではなく
需要者
用途
この2点に着もした規制です。
このキャッチオール規制は、
大量破壊兵器キャッチオール規制
通用兵器キャッチオール規制
の2つがあります。
規制対象の貨物
キャッチオール規制対象の貨物は、リスト規制には該当しない貨物で、木材や食料品以外の貨物はほぼ該当します。ただし、この規制は規制対象地域及び規制要件の両方を満たした場合のみ、許可申請が必要です。
厳密には関税定率法別表(HSコードのこと)
第25類から第40類まで、
第54類から第59類まで、
第63類、
第68類 から第93類
第95類
に該当する貨物です。(詳細は下記へ)
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t07sonota/t07sonota_kanzeiteiritu.pdf
HSコードが分からない方は下記のリンクをご確認ください。<HSコードとは 作成中>
規制対象地域
リスト規制は、規制対象地域を全地域(全世界)としています。
しかし、キャッチオール規制は輸出令別表第3に掲げる地域を除いた全地域を規制対象外の地域です。
輸出令別表第3に掲げる地域、この地域に該当する国のことを通称「ホワイト国」といいます。
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国
上記、ホワイト国向けの場合「リスト規制」非該当であれば許可申請をすることなく輸出しても問題ございません。
では、ホワイト国以外のキャッチオール規制確認方法を見ていきましょう。
規制要件
規制要件は2つあります。
1:客観要件
輸出者が得た需要者や用途に関する情報に基づき判断するものです。客観要件も2つあります。
需要者要件
輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に使用されるおそれがあるか否かを需要者の観点から確認するものです。
具体的には
①大量破壊兵器等の開発等を行う(行った)か又は
②外国人ユーザーリストに該当するかどうかです。(外国人ユーザーリストは経済産業省HPを御覧ください。)
用途要件
輸出又は提供を行う貨物又は技術が、大量破壊兵器等の開発等や通常兵器の開発等に使用されるおそれがあるか否かを用途の観点から確認するものです。
2:インフォーム要件
経済産業大臣から①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある又は②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあるとして許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けている場合に許可申請が必要です。
このインフォーム通知は件数は少ないと言われておりますが、リスク管理の観点から契約書に政府の許可条項を入れていた方が無難でしょう。
大量破壊兵器キャッチオール規制
大量破壊兵器キャッチオール規制の内容を確認する前にまずは、大量破壊兵器と通常兵器の違いをいきましょう。
大量破壊兵器とは
大量破壊兵器とは、輸出令第4条1項第一号イで「核兵器等」のことです。「核兵器等」の定義は
- 核兵器
- 軍用の化学製剤
- 軍用の細菌兵製剤
- 軍用の化学製剤又は軍用の細菌製剤の散布のための装置
- 1−4を運搬することができるロケット(射程若しくは航続距離が300キロ以上のもの)
- 1−4を運搬することができる無人航空機(射程若しくは航続距離が300キロ以上のもの)
通常兵器は、「輸出令別表第1の1の項に該当する貨物」から大量破壊兵器を除いたものです。
ここで「大量破壊兵器」と「通常兵器」の違いが分かったところで許可申請要件を見てきましょう。
許可申請要件
大量破壊兵器のキャッチオール確認は、「用途要件」「需要者要件」「インフォーム要件」の3つ確認が必要です。どれが1つでも該当すれば許可申請が必要です。
「インフォーム要件」は、経済産業大臣からの通知なので「用途要件」「需要者要件」の2点をみて参りましょう。
用途要件
大量破壊兵器等の開発等や核兵器等開発等省令の別表行為に用いると文書や連絡を受けた時にこの用途要件に該当します。この場合、危険性が高いので直ちに許可申請をしましょう。
核兵器等開発省令の別表行為とは
- 核燃料物質又は核原料物質の開発等・核融合に関する研究
- 原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
- 重水の製造
- 核燃料物質の加工
- 核燃料物質の再処理
以下の行為であって、軍若しくは国防に関する事務をつかさどる行政機関が行うもの、又はこれらの者から委託を受けて行うことが明らかなもの
- a 化学物質の開発又は製造
- b 微生物又は毒素の開発等
- c ロケット又は無人航空機の開発等
- d 宇宙に関する研究 ※ a 及び d については告示で定めるものを除く。
需要者要件
需要者が、大量破壊兵器の開発等に過去、現在、将来に関わっている情報を入手した場合、又は「外国人ユーザーリスト」に該当した場合は需要者要件に該当する可能性があります。
その場合は、除外規定であるキャッチオール規制1(6)にある「明らかガイドライン」で判断しましょう。
明らかガイドライン
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t04shinsei/t04shinsei_akirakaguide.pdf
通常兵器キャッチオール規制
許可申請要件
通常兵器キャッチオール規制は、客観要件のうち需要者要件がありません。
よって下記の表で判断ください。
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダン
輸出令別表第3に掲げる地域、通称「ホワイト国」ことですね。
以上がキャッチオール規制の確認方法です。
内容が難しいと思いますので適宜分かり易いように見直していきます!